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宇宙論 - 雑誌ニュートン

名前: 小川 邦久 リンク: http://kunisan.jp/ 日付: 2008年6月1日
久しぶりに雑誌ニュートンを購入しました。今回のお題は「宇宙論」。宇宙と言っても、スペースシャトルや火星、太陽、月などの(比較的)身近なものではなく、宇宙の誕生や宇宙の果てなどの、「世界の成り立ち」の根源に関わる理論です。世界の始まりや世界の果てについては、哲学や宗教などでも扱われる議題ですが、ここでの宇宙論は計算と観測によって得られた結果をもとにした理論や推測です。ここ数年の観測技術の急速な発達によって、宇宙論もより精度が高まり、中には以前と内容が変わってしまっているものもあります。

例えば宇宙の誕生時に起こったとして考えられている「ビッグバン」ついては、私が以前に見た資料では「約200億年前」ということが書いてあったと記憶しています。しかし最近では「137億年前」と、かなり正確な数字になっています。

宇宙は膨張しつづけているという「ハッブルの法則」は、観測でも「遠い天体ほど、より早い速度で遠ざかっている」ということがわかっていて、これを逆にとると、以前これらの天体は、1点に集約していた可能性が高いということが推測されていました。

しかし、ビッグバンは本当にあったのでしょうか?色々な反論がありますが、分かりやすいのは「もしかしたら宇宙は膨張と縮小を繰り返したのかもしれない。今はたまたま膨張のタイミングでは?」ということです。

しかし、最近「宇宙背景放射」がかなり正確に観測されたことにより、これがビッグバンの確たる証拠としてみなされるようになりました。「宇宙背景放射」は地球から137億光年のかなたからやって来るマイクロ波です。このマイクロ波は137億年前のビッグバンのなごりです。つまりビッグバンから137億光年離れた地球で、137億年前のビッグバンそのものとも言える「宇宙背景放射」がリアルタイムに観測できるのです(文章では説明しづらいので、興味のある方はニュートンを買ってください)。

宇宙の果てについては、「果てはない」ということになっているようです。観測可能な領域は地球から137億光年先(つまり宇宙背景放射が観測されるところ)ですが、それ以上先の天体については、地球から見て光速以上の速度で遠ざかっているため地球に光が届くことはありません(この先、宇宙が縮むことがあれば話は別でが)。なぜ「果てはない」と言えるのかと言うと、科学的な根拠からではなく、「果てがあるとすると『その向こうは何か』と考えざるとえず、理論的におかしなことになるから」という形而上学的な思考によるものです。

もう一度ビッグバンの話にもどしますが、ビッグバンについても「宇宙のはじまり」としてしまうと、「それより前は何があったのか?」と考えざるをえません。そのため、ビッグバンは「膨張する灼熱の初期宇宙」とだけ考える場合があるようです。中には宇宙が空間も時間もない「無」から生まれたという仮説がありますが、もちろんこれは観測から得られた100%根拠のある理論ではありません。ただ、量子論では真空状態からエネルギーによって物資が作られるということが実験でも証明されていて、この理論に手を加える形でなんらかの発展があるかも知れません。いずれにしても、一歩間違えると何だか宗教じみた理論で面白いです。

その他、まだよく知られていない「ダークマター」「ダークエネルギー」などの記述もあります。とにもかくにも、人間にとって宇宙は広すぎます。そんな宇宙を計算と観測だけで解析していく宇宙学者もすごいものです。





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