ケニア・サファリのススメ

サイト内検索



ケニア旅行記
ページ
: 1-1
,3
,4
,5
,6
,7
,8
,9
,10-2
ビッグ・ヘンリー金持って逃げる
その②

スポンサードリンク


 Planet Safariの事務所に入るとグラディスがいた。こちらの勘違いをどう弁解しようかな、と思ったら、「まだビッグ・ヘンリーがつかまらない」と、相変わらずそわそわした様子だった。何かおかしいなと思い、ホテルのレストランで会った男とまた話をする。するとこの男、Planet Safariから来たというのはその通りだったのだが、ビッグ・ヘンリーの件とは全く関係なく、たまたまEmbassy Hotelにやってきて、市内観光の勧誘をしに来ただけということがわかった。ホテルのフロントが「Planet Safariから来た」ということで、2階のレストランに上げてしまったのだ。となると、ビッグ・ヘンリーお金持ち逃げの件は解決していないことになる。また振り出しに戻ってしまった。

 グラディスはビッグ・ヘンリーに何回か電話をかけていたが、全くつながらない様子だった。それからこちらにやって来て話をしてくれた。
「ビッグ・ヘンリーはうちのスタッフではないの。実は9日前にあなたとここに来るまで、会ったことも話したこともない」
「えっ?」
「空港でタクシーの助手席で乗ってくる人は、コミッションをもらってツアーの紹介をしているだけで、ツアー会社とは何の関係もない人達なのよ。だからサファリ・ツアーについてはうちの方で責任を取れるけど、ビッグ・ヘンリー個人の市内観光についてはお金を直接渡してしまっているので、うちは全くからんでいないのね」
「手書きだけど『US$1,000サファリ、US$120市内観光』の受取書はもらってますよ。しかもPlanet Safariの用紙でちゃんと書いてある」
「それはビッグ・ヘンリーが自分で書いたもの。サファリ・ツアーの方は正式な領収書を出したでしょう」
 確かにサファリ・ツアーの方の領収書はちゃんとしている。サファリ・ツアー分のUS$1,000を領収したことが明記してある。ビッグ・ヘンリーの書いた受取書はよくよく見ると、"Planet Safari"のロゴが印刷された、ただのメモ用紙だ。ビッグ・ヘンリーがPlanet Safariの人間だと思い込んでいたので、この受取書で安心してしまったのだ。すっかりだまされた。
 グラディスに「今度ケニアに来るときには、空港で会った人と個人的な契約を結ばない方がいい」と言われたが、こちらにも言い分がある。
「でも、こんなことがあればPlanet Safariのせっかくの評判も落ちますよ。そちらからも絶対こういうことが起きないように、ちゃんと話をした方がいいんじゃないですか」
 昨日アレックスが言っていた「人の商売の邪魔は出来ない」というのが、ここでも出ている。グラディスも市内観光の契約の時点で「これは危ない」と思っていたのだろうけど、ビッグ・ヘンリーの商売に影響するといけないので口出しできなかったのだろう。でも今回の件は立派な詐欺行為。ちょっと大げさに「この件は外務省や大使館に知らせないといけない」とか「ホームページで日本人全員にこの件を伝えて、これ以上の被害を防がないと」と言ったら、グラディスは「ビッグ・ヘンリーの友人に電話をかけてなんとかする」と電話の方に向かった。友人とは言っても、たぶん同業者のことなのだろう。グラディスは電話を手に取りしばらくすると、スワヒリ語でものすごく怒った口調で話をした。それからこちらを向いて「ちょっと電話に出て」と言ってきた。電話に出ると男の声で「オレの友人が30分後に迎えに行く。国立博物館、ヘビ公園、ジラフ・センターと行った後、空港まで送る」と言われた。結果的には丸損をしないですんだようだ。

 ちょうど30分後に男が迎えに来た。グラディスに「どうもありがとう」と感謝の気持ちを伝えて事務所を出た。

 それから国立博物館、ヘビ公園、ジラフ・センターと全てまわったものの、正直なところ、全てあまり面白いものではなかった。サファリ・ツアーで大自然の中で生きる野生動物を見てしまった後、博物館の剥製の鳥のコレクション、檻の中のヘビ、餌付けされているキリンを見ても、特別な感情を抱けるはずがない。予定よりもかなり早く、そのまま空港へと向かった。

 某ガイドブックに書いてあった通り、観光でケニアに来る場合には、ナイロビは通過するだけでもいいのだろう。唯一面白いところと言えば、野生動物の食べられるCarnivoreぐらい。
[ ジラフ・センターのキリン ]

スポンサードリンク