ケニア・サファリのススメ

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ケニア旅行記
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ビッグ・ヘンリー金持って逃げる
その①

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 ケニア滞在最終日の10日目。初日に会ったビッグ・ヘンリーが11時にホテルに迎えに来て、ナイロビ市内観光をする予定だった。チェックアウトの時間は10時だったので、その時間ちょうどにチェックアウトして、ホテル2階のレストランで休むことにする。フロントに「Planet Safariから誰か来たら、2階のレストランまで上がってもらってください」と言っておいた。

[ ホテルの食堂 ]
 レストランでコーヒーを飲みながらガイドブックを見ていると、11時を過ぎたあたりで見知らぬ男がよって来て声を掛けてきた。
「ナイロビの市内観光はどうですか?」
 わざわざ2階まで上がってツアーの勧誘とは、かなり図太い神経の持ち主に違いない。「別の人が迎えにくるので、結構です」と言って断った。

 その後11時半になっても、ビッグ・ヘンリーは来ない。すでにお金は払ってしまっているので心配になり、1階のフロントまで戻ってPlanet Safariに電話をかけた。ケニア入国初日に会ったグラディスが電話に出た。
「もう予定の時間を30分過ぎてる」
「さっきビッグ・ヘンリーから電話があって、ちゃんと『今日は市内観光の予定だ』と言っていた。もう一度携帯に電話をして、すぐにそっちに行かせるようにする」

 12時になっても来ない。市内観光の間に昼食ぐらいはおごってあげようと思ったのだが、こんなに遅れてはダメだ。おなかもすいてきたので、2階のレストランに戻って食事をすることにした。食事の間に来るかもしれないと思い、あまり時間のかからないフィッシュ&チップスを注文した。

 とうとう午後の1時になってしまった。いくらアフリカの「ポレポレ(ゆっくり)精神」があるとは言え、高いお金を払っているのに2時間遅れというのは許せない。しかも今日はケニア最終日なのに…、と思うとだんだん腹が立ってきた。また1階のフロントに行き、Planet Safariに電話をかける。
「まだビッグ・ヘンリーが来ない」
「こちらも携帯がつながらないのよ」
「もう2時間も遅れている。来ない場合にはちゃんと返金してほしい」
「お金は全てビッグ・ヘンリーが持っているの。ビッグ・ヘンリーが来たら返金してもらえる」
「そうではなくて、来ないから返金して欲しいという話をしている」
「だからお金はビッグ・ヘンリーが持っていて…」
「そうじゃないでしょ。こっちはそっちに金を払ってるんだから、ちゃんと返金して欲しい。ビッグ・ヘンリーからお金を戻すのは、そっちの責任でしょ」
「…。もう一度ビッグ・ヘンリーに電話する…」

 このままではらちがあかない。直接Planet Safariの事務所に行こうと思ったら、たまたまフロントのベンチに座っていた男が「タクシー必要か?」と聞いてきた。もう観光気分ではなかったので、「Planet Safariの事務所に行って、それからすぐに空港に行きたい。いくらになる?」と聞いたら、「1,300シリング(約2,028円)」という回答だった。「今すぐお願い」と言って、タクシーを呼んでもらうよう頼んだ。
 3分後に来たのは普通の乗用車。白タクだ。運転手はがっちりした体格で、目つきが非常に悪い。さっきの男も助手席に乗った。何かよからぬ雰囲気がしたが、荷物をそのまま後部座席に乗せて、Planet Safariの事務所へと向かった。

 5分ほどで事務所のあるビルに到着し、助手席の男と一緒にエレベーターを上がって、事務所の入り口まで行った。すると、朝11時過ぎにホテルのレストランで会った男がいた。
「あれ?さっき会いましたね。誰かと市内観光してるんじゃなかったの?」
 なんと、ビッグ・ヘンリーの代理で来たのか…。「まいったなあ。最初から『Planet Safariから来た』と言ってくれていれば…」と言ったが、とりあえず事務所に入っていろいろと話をしなければいけないだろう。長くなりそうなので助手席の男に、「空港まではもういい。タクシー代を払うから上まで荷物を持ってきて」と言ったら、「1,000シリング(約1,560円)」と手を広げてお金を要求された。東京のタクシーの倍以上だ。でも仕方がないよなあ、と思って財布に手を伸ばしたが、あることに気づいた。
「1,000シリングを取られる上、車内の荷物も持ち逃げされるかも…」
 男に「とりあえず一緒に下に行きましょう」と言ったものの、「いや、荷物取ってくる」と言われた。これはまずい、と思った。エレベーターを待ったもののなかなか来ないので、階段を駆け足で下りる。男も一緒に下りてきた。
 車の前に着いて、財布から1,000シリング札を1枚取り出し、「まず荷物を出して」と男に言った。男は後部座席のドアを開けて荷物を取り出し、それをこちらに渡してくれたのと交換で、1,000シリング札を手渡した。

 高いタクシー代だったけど、とりあえず荷物は無事だった。しかし、まだ終わっていない。また上に上がって、話をしないと…。

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