英語が本当に苦手な人の英語学習法

製作: 小川 邦久

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15.おわりに


 「英語を勉強するにあたって、『将来このような仕事に就きたい』などの明確な目標は必要なのか?」と問われたら、私は「特に必要ない」と答えます。


 一昔前なら英語が話せるだけでも、会社の翻訳や通訳担当として仕事が得やすいこともありました。しかし今では英語ができる人が増えたこともあり、英語自体それほど特別なことではなくなりました。逆に英語だけできても、何らかの専門知識が付随していないと、仕事を探すのも容易ではありません。もちろん、「英語ができたってしょうがない」ということではありません。英語ができないと、将来の選択の幅はそれだけ狭くなります。



 私が思うに、すでに英語学習というのは、「漢字の学習」とそれほど変わらない位置にまで来つつあると思っています。「漢字の勉強をするのに明確な目標は必要か?」と問われたら、資格試験合格を目指すような人は別にして、普通の人なら「必要ない」と答えるはずです。それ位、英語もだいぶ当たり前のものになってきています。


 もちろん、明確な目標を持って勉強することは素晴らしいことだと思いますし、それを否定する理由もないと思います。しかし、「とりあえず」の目標を立てて、三日坊主の努力しかせずに終わってしまう位なら、いっそのこと変な目標など立てずに、自分の「今できること」だけをコツコツと続けてやっていく方が、将来的に何らかの形でよい結果に繋がります。


 「では、英語ができたところでどうなるの?」という問いはどうでしょうか。「TOEICのスコアがアップする」という、短絡的な答えもあり得ます。それでも問題ありません。「就職に便利」というのも一つの答えになります。あと、海外旅行で役に立つとか、外国人の友人を作れる、映画やビデオを字幕を通さずに見れる、ホームページや本やニュースから取得できる情報量も増える、などなど。個人個人によって英語の活用方法は異なりますが、極端な話をすると「英語ができる」ということは、これが全てセットで付いてくるということでもあります。


 あと、英語を勉強するのに年齢や個人の能力差を極端に気にする人がいます。


 まず、年齢については、英語以外のことに関しても、一般的に歳をとればとるほど物事を吸収するのに時間がかかるというのは自然な考え方です。ネイティブ並みに英語を習得できるようになるには、「遅くとも十代前半までに英語に触れていないと不可能」ということも言われています。しかし、これだけで全てを諦めてしまうのはあまりにも早計です。ノンネイティブはノンネイティブ並みに英語を使えればそれでいいのです。個人の能力差についても、「無い」と考えるのは不自然ですし、これも「そういうものだ」と受け入れるしかないでしょう。よく、「言語脳は男性よりも女性の方が優れている」などということも言われています。個々に例外はあるとは思いますが、私が今までに出会った人たちを見ていると、これも一般論として正しいような気がしてしまいます。


 私自身の英語を学習する能力やセンスは「人並み以下」だと思っています。中学、高校での英語の成績を見ても、勉強量の割にTOEICのスコアの上がり方が緩やかなところも、いわゆる「英語のセンスのある人」から比べると、とても効率がいいとは言えません。あと、英語が得意な人から「ある日突然英語がわかるようになった」という体験談を聞いたことがありますが、私自身にはこのような経験はありません。私の場合には、せいぜい「昨年より良くなったかな」というのが毎年続いている程度です。やはり、ペースとしてはゆっくりですが、ただそれは「仕方のないこと」だとも思っています。同じことを習得するのに人より時間はかかるものの、継続的に楽しく勉強ができていますし、自分なりにでも英語を使えるようになったことには大変満足しています。


 それと勉強法について、ある人にはベストな方法だとしても、別の人にとってはそうでないということが多々あります。ですので勉強をスタートする前から、「どんな勉強法がベストなのか」ばかり考えるのはナンセンスです。とにかく自分で自分なりの勉強をし始めてしまうことが先決です。その上で、自分に合わないということがわかったら、また別の良さそうな方法を試します。「実践→考察→改善→実践→…」という円環的なやり方の方が、遠回りなようで一番確実とも言えます。



 英語の学習に「100%の理解」は必要ありません。「1よりは2がいい。2よりは3がいい」という発想で十分です。そして、勉強を積み重ねてその数字が大きくなれば、より広い知識や経験を得られる可能性が生まれてきます。もしかしたら、それが今まで知りえなかった新たな人生の選択肢を作りだす事も十分にあるのです。


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