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製作: 小川 邦久

7日目 2003年5月2日(金)アラヤ家のお父さん

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 今日は一日フリーの日。ただ、フリーとはいえ一日中テントの前でビールの飲んでいるだけというのも寂しいので、昨晩のうちに乗馬ツアーの予約をした。妻は馬に乗ったことがなかったが、「馬は何も言わなくても、前の馬の後を付いて行くから大丈夫」ということを説明して、乗馬初挑戦となった。今回の乗馬ツアー参加者は私達二人のみで、ベンは近くの海岸にシュノーケリングに出かけた。


[ 出発前の馬 ]
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 朝食の後、高校生ぐらいの青年が、どこからともなく馬を3頭連れてきた。今日のツアーガイドだ。「Hola(オラ)」と挨拶をしたら二コリとしたが、馬に鞍を乗せる作業を続けていた。シャイな性格なのだろうか。
 この馬には「はみ」が着いておらず、顔に結んだロープにそのまま手綱を取り付けてある。あと、蹄鉄を打っていない。歩いている途中にうまくコントロールできなかったりとか、ひづめが割れたりしないかとか、ちょっと心配だったが、まあこれがコルコバード風の自然な乗馬スタイルなのだろう。

 鞍の準備ができた。馬にまたがり、いざ出発。まずは海岸沿いの小道を歩く。思ったとおり、はみが無いのは手綱の操作がしづらいが、馬はちゃんと目的の方向に歩いてくれる。特に問題はなさそうだ。
 ガイドのお兄さんは何も話さず、私達の後ろから馬の動きを見張っている。分かれ道の時だけ「右」とか「左」とか、一言だけ指示を出す。こちらから何かを話しかけると、ニコリとしながら一言だけ答える。どうやら本当にシャイらしい。
 海岸沿いをしばらく歩いた後、森の中に入りノドジロオマキザルの群れを発見する。子供をお腹に抱えた母ザルの姿もあったが、こちらを見て怒ったような表情をしている。随分と表情の豊かなサルだ。昨日のクモザル同様、手足と尻尾を上手に使って、木の枝から枝へと移動をして行った。
 その後、雨でぬかるんだ小道を登り始め、倒れた大木を何回かまたいで、車の幅ぐらいのちょっと広めの道に出る。道幅は広いものの坂の勾配がきつく、さらにシャベルで掘ったようにでこぼこしていて、やはり車では通ることはできなそうだ。馬はでこぼこをうまく使って坂を上り下りする。ここでは馬が人間の生活に欠かせない存在というのが良くわかる。

[ ノドジロオマキザル ]
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[ アラヤ家のお父さんと子供達 ]
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 出発から約1時間半で小さな農場に到着した。コルコバード特有の大きな葉を重ね合わせた屋根の家がある。中に入ると男の子が2人、女の子が1人、それにお父さんとお母さんがいた。どうやらガイドのお兄さんの家族らしい。
 皆にスペイン語で挨拶をする。お母さんがニコニコしながらコーヒーを出してくれた。子供の歳を聞くと、男の子がそれぞれ9歳と7歳、女の子は3歳ということだった。この3人の子供に今回のガイドともう一人を合わせて5人兄弟。その一人は学校の試験があるので今日は家にいないということだった。
 デジカメで子供達の写真を撮った。それをお父さんに見せると、子供達も寄って来て「見せて、見せて」とねだってくる。

 子供達を喜ばせたいなと思い、手持ちのメモ帳をちぎって折り紙を折ることにした。
 羽が羽ばたく鶴と、ジャンプする蛙を作ったら、子供達は驚いたような顔をしていた。上の男の子が鶴を持ってお母さんのところに行き、「これ見て!」と鶴の羽を羽ばたかせる。2番目の男の子は蛙をジャンプさせて、コーヒーカップの中に入れようとしている。これを見ていたお父さんも、「ケロケロ」と言いながらカエルをジャンプさせて遊び始めた。末っ子のマリアちゃんも、物珍しそうに見ている。

[ 折り紙蛙で遊ぶ]
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[ 紙飛行機を飛ばす ]
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 さらにキッチンにあったノートの紙で飛行機を作ってあげると、子供達はさらに興奮して2階に駆け上がってキッチンの上から飛ばして遊んだ。もう止まらない。子供達は階段を駆け降りて紙飛行機をつかむと、一目散に2階に上がりまた紙飛行機を飛ばす。これを何回も何回も繰り返す。よっぽど紙飛行機というものが新鮮だったのだろう。
 ノートの紙を無駄に使ってしまったかも知れないが、日本ならではの折り紙で子供達に楽しんでもらえたのは、こちらとしても嬉しかった。折り紙は音楽や美術と同様、みんなに理解してもらえる「言語」の一つになりうる。

 一休みの後、近くのプールに行くことになった。プールとは言ってももちろんコンクリートではなく、ここでは川が広くなっている泳げるところのこと。ガイドのお兄さんの後を歩くと、2番目の男の子も紙飛行機を持って付いてきた。紙飛行機が本当に気に入ったらしい。
 30分ほど歩いて川に着いた。相変わらず水着を持っていないので、泳いでいるところをしばらく見物していた。

 また30分かけて家に戻ると、お父さんが面白いものがあると言って、逆さになったバケツを指差した。バケツを持ち上げると2メートルほどのヘビがいた。これには子供達もガイドのお兄さんもビックリ。ヘビはにょろにょろと地面をはって逃げようとするが、お父さんは尻尾をつかんで持ち上げる。ヘビは首を持ち上げるが、残念ながら抵抗は及ばない。
 こちらも最初はビックリしていたが、お父さんより「毒ヘビではない」と言われて一安心。ちょっとだけ尻尾をつかませてもらった。子供達はまだヘビが恐いらしく、距離を取ってこちらを見ている。久しぶりにヘビを持ったが、冷たくてあまり感触のいいものではない。

[ ヘビを持つお父さん ]
WMV形式動画(9秒/293kb)


[ 食事を出すお父さん ]
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 昼食の時間になった。お母さんが効率よくせっせと料理している。アボカドのスープから始まり、サラダ、黒豆入りのライス、オムレツ、野菜を刻んだ煮物、シチュー…、とどんどん出てくる。量もさる事ながら手作りの味がよく出ていて、コスタリカ滞在中で一番美味しい料理だった。デザートには、サトウキビのエキスを濃縮してペースト状にしたものがでてきた。このデザートと一緒に飲むコーヒーもまた美味しい。
 このアラヤ(Araya)家のお父さん、お母さんは20年前にこの地に引っ越してきたとのこと。詳しいことは聞けなかったが、馬のガイドと食事のおもてなしの仕事の他は、多分自給自足の生活なのだろう。ただ、現在この家は増築中で、近い将来ゲストが宿泊できるようにするとのこと。人里はなれたコルコバード国立公園の、さらに馬でしか行けないような所の家族との団らんは、なかなか出来ない経験だと思うし、またいつか来る機会があれば是非お邪魔したいぐらい楽しいところだ。

 アラヤ一家との楽しい時間はあっという間に過ぎてしまい、すぐに帰る時間になってしまった。再び馬にまたがり、別れの挨拶をして歩き出した。子供達はずっと紙飛行機を飛ばして遊んでいた。

 テントキャンプに戻ると、ノドジロオマキザルの集団がいた。中には食堂のキッチンに入り込むものもいたり、どこかで捕まえた小さなイグアナを美味しそうに食べているものもいた。ノドジロオマキザルはコルコバード国立公園内ではよく観察されるものの、テントキャンプに集団がやってくることはほとんどないとのこと。
 この珍しい風景に、他の宿泊客数人もカメラを持ち出して、パシャパシャと写真を撮っていた。

[ 草を食べるノドジロオマキザル ]
WMV形式動画(9秒/291kb)

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