耳栓の性能はNRR値で表されますが、これに係るデシベル(dB)について説明します。なお、遮音性についてはNRR値だけではなく、耳栓が耳の穴にちゃんとフィットしているかも重要なポイントになります。
[ パッケージにNRR33の表記 ]
耳栓の遮音性能は、一般的にEPA(米国環境保護局)が査定した、NRR(Noise Reduction Rating)で示されます。NRRの単位はデシベル(dB)で、数値が大きいものほど遮音性が高いということになります。
例えば、騒音レベル100デシベルの環境下で、NRR値25デシベルの耳栓を正しく装着すると、聞こえてくる騒音レベルは75デシベル程度まで下がります。
遮音性の高い耳栓は「NRR値33デシベル」が最高値で、例えば以下のものがあります。
[ 周波数ごとにNRRを表記 ]
音の高さ(周波数)によって細かくNRR値が表記されている製品もあり、これにより「低音(低い周波数)の遮音性が高い」、「高音(高い周波数)の遮音性が高い」等の特徴を察することもできます。
参考までに、騒音レベル(デシベル)と実際の環境(例)は以下のようになります。
デシベル(dB) | レベル | 音の大きさ |
130 | 非常にうるさい | 飛行機のジェットエンジンの近く |
120 | ハンマー打ち工事作業 |
110 | ヘリコプターの近く、リベット打ち、自動車の警笛(すぐ近く) |
100 | ガード下で電車通過、ボイラー工場 |
90 | 犬の鳴き声、怒鳴り声、電車のそば、カラオケ店内 |
80 | 地下鉄の車内、ピアノの演奏、騒々しい工場 |
70 | うるさい | ステレオ近く、騒々しい事務所、騒々しい街、掃除機、キータイプ |
60 | 普通の会話、普通の乗用車の内部、チャイム |
50 | ふつう | エアコン室外機、静かな事務所 |
40 | 閑静な住宅街、深夜の街中、図書館 |
30 | 静か | ささやき声、深夜の郊外 |
20 | 木の葉が風で触れ合う音、時計の秒針 |
上記のNRR値の遮音性能については、耳栓が正しく装着された場合にのみ有効で、耳栓が大きすぎて耳の穴に入りきらなかったり、逆に耳栓が小さすぎて耳の穴と耳栓の間に隙間ができたりしてしまうと、想定された効果を大きく下回る遮音性になってしまいます。
耳栓は種類によって長さや太さが大きく異なります。自分に合ったサイズの耳栓を選択しましょう。
[ 耳栓サイズ比較 (マス目は1x1cm) ]
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耳栓の中でもフォームタイプのものは比較的遮音性が高いですが、慣れていないと装着がうまくいかないケースがあります。装着時は耳栓を指で細く丸めて、耳の穴の奥まで差し込み、数十秒間指で押さえて耳栓が膨らみきった後に指を離します。耳栓を装着した後、顔を正面から見た場合、耳栓が見えない位の所に隠れていればオーケーです。
[ 悪い装着例 ]
| [ 良い装着例 ]
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また、フォームタイプの耳栓は劣化が早いという特徴もあります。何回も使っていると汗などの水分を吸収したりして変質し、指で細く丸めてもすぐに元の形に戻ったり、遮音性も低くなったりします。そのような場合には耳栓を新しいものに交換しましょう。