タスマニアへの道標

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おススメの本: 乗馬への道〈Vol.10〉タスマニア馬紀行


トレッキング体験記(1994年3月) 文:西田 勲 2002/3/23
 タスマニア島に来た目的は私個人の中では、ニュージーランドにある世界的に有名なミルフォードトラックに決して引けを取らない数々のトレッキングコースを是非ともこの足で踏みしめ、この目で見たかったからである。
 其の中でも最も人気のあるコースの一つであるクレイドルマウンテン及び其の周辺について話したい。現地へのアクセス拠点であるデボンポートは静かな港町であり人々は朗らかでのんびりしており、訪れる観光客にはみな親切である。但し、やや田舎町と言うことで店は早い時間帯に閉まってしまい、私自身トレッキング出発の前日はオージービーフでも平らげ、スタミナをつけようと思っていたが、その様な店は見つけることが出来ず、結局おなじみのハンバーガーとなってしまった・・。翌朝町のバスターミナルにはいかにもトレッキングに行くぞ!と気合がみなぎっているグループや、ややお年を召した夫婦などがバスの出発を待っておりその中で唯一のアジア人風の私は少し不安を感じながらバスに乗り込んだ。バスは一時間ほどでトレッキングのスタート地点であるレンジャーステーションに到着したが、その日はべったりの曇天で期待していた目の覚めるような光景には出くわすことが出来なかった。それに季節は夏であるが緯度が高いため防寒着なしでは外は歩けないほど寒く感じた。トレッキングに関しての情報源と言えばシドニーの本屋で購入した地図のみで後は行き当たりばったりでスタートすることになったが、食料は3日分ほど準備したのでまぁ何とかなるだろうと言う感じであった。歩き出してしばらくは湖畔沿いのきれいなコースであったが、曇天で気温も低く気分的にはいまいちであった。その後森林地帯に入ったが前日に雨が降ったためか、足場がぬかるんでおり、そこを抜けるのに非常に体力を要した。また初めての海外一人トレッキングからの緊張や前日も気持ちが高ぶって睡眠不足であったこと等が影響して、非常に体が重くどこまで行けるのやら妙に不安であった。
 森林地帯を抜けるとようやくクレイドルマウンテンが目の前に現れたが、同時にかなりハードな登り道が待ち受けていた。しかしようやく太陽も顔を出して、気温も上昇し体も目覚めだし、自分のペースを保てるようになった。トレイルはクレイドルマウンテンの裾野を横切る岩場となり逆方向から来るトレッカーに道を譲りながらゆっくりと進み、少しずつ距離を稼ぐと辺りの景色は一変し、岩場から高原になった。さらにその高原はどこまでも続いているようで遠くには地平線がかすんでいた。
< ドーブ湖にて >

 夢中で進んできたので時間の事は気にしていなかったが、既に夕日が山並みを照らしており、適当なキャンプサイトを探していると前方に赤、黄、ブルーなどのテントが5張りばかし集まっている箇所があり、その様な場所には必ず近くに水場があるのでそこまで行こうと思った。途中カナダ人としばらく一緒に歩いたが彼はもう1ピッチ(1時間)ほど歩いてそのあたりでキャンプすると言う事だったので別れた。日本でのキャンプは何度も経験はあるが海外でのキャンプは初めてであったので、何か特別なルールとかがあるのか少し心配であったが、とにかくフル装備のザックを下ろし日本式で準備を始めた。しかしこのキャンプサイトの周りは見渡す限り草原いや楽園というべきか!?遠くに帽子の様なバーンブラフ山がそびえ立ちその周りは見渡す限り原自然そのままの風景が広がっている。キャンプサイトにはすぐ近くに予想通り小さな滝がありそこで水の補給も出来、ちょうどその時は40歳前後のオージーのグループが来ており、たどたどしい英語で少し会話したが非常にフレンドリーで心地良いものであった。
 ふと逆のほうを見ると、なんと野生のウォンバットが歩いている!また少し離れたところにはワラビーも数頭集まっており、動物達にとっても楽園なんだなぁと思った。その後簡単に夕食を済まし早目に寝ようと思ったが非常に寒い!ユニクロフリースなどがあれば快適であったがそんなものは無いので暖かいコーヒーを飲んで体を温めて寝るしかなかった。
 朝起きると霜が降りていて非常に寒かったが頭の隅まで澄み渡るような快晴であった。ふとテントの脇を見ると何と小さなワラビーがそこで寝ていたようでまだ寝ぼけているのかモゾモゾしていた。キャンプサイトを後にする時、いきなり一人のオージー女性に日本語で声を掛けられびっくりしたが、彼女はシドニーで子供たちに日本語を教えているらしく、一人でトレッキングに来ていると説明するとえらく感心していたようで、少し気分が良かった。その日は昨日来た道を戻り始めたが、慣れぬ海外トレッキングから来る緊張と、フル装備の重量に徐々に体力を奪われ、また昨日と打って変わって非常に気温が高く、それもスタミナを奪う原因であったが、とにかく景色が良く人も少なく、「この世界には俺しか居ないのか。」と思えさせる程であった。目の前に本命のクレイドルマウンテンが出現し荷物を草むらに隠し、ディパックのみでクレイドルマウンテンに登り始めた。この山は完全な岩山で、中腹以降は特に山に登ると言うより岩に登っていると言う感覚であった。狭いところは下山してくる人と登る人で混雑しており、少し待たなければならなく日本の北アルプスなどを思い出し興ざめする事もあったが頂上に近づくにつれ、非常にワクワクするものがあり、標高も1500mほどあったが全くといってよいほど疲れは感じなかった。頂上からはほぼ360度見渡す限りのタスマニアの原自然を見る事が出来、言葉では言い表せない景色が広がっている。そこを歩いているトレッカーも見えるが何とちっぽけな存在であることか・・。日本から持参したインスタントコーヒーを頂上で飲んだが、気分は最高でこれを至福の一杯というのであろう。機会があれば再度あの原自然に触れてみたいと強く思うと共に、この原自然が未来永劫生き続けることを切に願いたい。
 しかし本当に来て良かった!

< クレイドルマウンテン頂上 >
見渡す限りの青空だ

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