ナンセンスな物語(16)-ごましお仮面

 黒タイツを着た悪いやつらが、子供たちを襲っている。子供の1人が叫んだ。「助けて、ごましお仮面!」

 ごましお仮面は1000ccの大型バイクに乗ってやってきた。「悪物ども、容赦せぬぞ」とちょっと古風な言い回し。

 「ごましおパーンチ」「ごましおキーック」と次々と悪物どもを倒していく。技を仕掛けるたびに、いちいち技の名前を叫ぶのは、ごましお仮面の悪い癖だ。「とどめはゴマシウム光線!」と、強烈なエネルギーを持った光の塊が、眉毛が太めの悪者の親分に当たった。悪物たちは全員倒れたが、数分後に起き上がり、へこへこと退散してしまった。やさしいごましお仮面は、命までは絶対に奪わない。

 「ありがとう、ごましお仮面!」と子供たちからは称賛の雨嵐。「何でもないさ」とごましお仮面。「君たちもごま塩を食べて元気になろう」と言い残し、ごましお仮面は再び1000ccの大型バイクにまたがり、沈みかけた夕日に向かって走り去った。

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