有機ELディスプレイ(OLED)の概要※2001年7月現在の情報を基に作られたものです。※本資料は個人の学習用として制作されたものであって、内容の信憑性については保証しません。 ■ 有機EL発光のしくみと材料 有機EL(organic electroluminescent) 蛍光性化合物は電場を加えることにより励起して発光するが、このうち有機化合物(分子中に炭素を含む化合物)を用いたものを有機ELと呼ぶ。無機化合物を用いた無機ELに比べて高速応答性、高輝度、高効率、直流電圧駆動、多色化などの面で優れているが、耐久性の改善などで実用化はこれからの段階である。 ![]() 1.ガラス基板の上に陽極(2.ITO電極―透明)、3.ホール輸送層、4.発光層、5.陰極が積層されている。 ITO電極からホール輸送層に向けてホール(正孔)が注入され、一方陰極から発光層に向けて電子が注入される。 発光層で電子とホールが結合して、光が放射される。 <材料> 1.ガラス基板 ガラス(プラスチックも使用される) 2.ITO電極(陽極)インジウム+スズの酸化物 3.ホール輸送層有機化合物 4.発光層有機化合物 5.陰極マグネシウム、アルミニウムなど A.キャリア注入層 (陽極と陰極のそれぞれ内側にある)材料:有機化合物 B.配線材料 現状では詳細はわからないが、有機ELDは電流駆動のため、電圧駆動のLCDと違うの基準で材料が選ばれていることは明らか。信号線など直接EL素子に電流を通すところは、低抵抗であることが重要(Al系、Cr系材料が使用されていることが多いようだ)。 ![]() [有機ELに使用される有機化合物の例] ■ LCD(液晶)、OLED(有機EL)、CRT(ブラウン管)発光の違い ![]() バックライトが発光体で、液晶層を挟むITOの電位差によって、液晶分子の並びにねじれを作り、RGB光量を調節する。 ![]() ITO-陰極間で直接電流が流れ、間にある各RGBの発光素子(有機EL)で励起が起こり自己発光する。 ![]() カソードから放出された電子ビームが各RGBの蛍光塗料に当たり、励起が起こって自己発光する。 ■ LCD(液晶)、OLED(有機EL)、CRT(ブラウン管)発光の違い ![]() パッシブマトリクスディスプレイ 長所:低コストで安価短所:色むらが生じやすい アクティブマトリクスディスプレイ 長所:高輝度、低電力駆動、色むらが発生しづらい短所:パッシブより高コスト ※有機ELDのアクティブマトリクスは電流駆動のため、PC用LCDで一般的なa‐Si‐TFTは用いられず、大きな電流を流すことができる低温p‐Si-TFTが用いられる。 ■ 有機EL製造工程一例 ITO付きガラス →配線材成膜、エッチング(100~150℃) →ITOパターニング(100~150℃) →絶縁膜の形成(200~250℃) →陰極隔壁の形成(パッシブ方式のも) →有機膜、陰極成膜(インクジェット方式による) →封止、分断 →パネル完成 ■ 有機ELDの特徴 薄型化、軽量化に最適 自発光ディスプレーのため、LCDのようにバックライトが必要ではなく、さらなる薄型化、軽量化が期待できる。 低電力化 カラーフィルタや液晶層での光量の損失がないため、今後発光効率を上げていくことで、LCD以上の低電力化が期待できる。 応答速度が速い 自己発光タイプのため応答速度が非常に早く、動画に適している。 視野角が広く、高輝度、高コントラスト 液晶層やカラーフィルタを介さないため、視野角が広く取れて高量の損失が小さく、LCD以上の高輝度、高コントラストが得られる。(ブラウン管に近い見え方をする) 広い使用温度範囲 有機膜(固相)による発光のため、LCD(液晶=液相)に比べ使用温度に幅がある。 低コスト化 積層数が少なく、大量生産の設備さえ整えれば、LCDよりも製造コストを低く抑えられると期待されている。 ■ 有機EL開発上の課題点
・液晶ディスプレイ(LCD)製造工程概要 ・プラズマディスプレイパネル(PDP)製造工程概要 ・有機ELディスプレイ(OLED)用パネル製造工程概要 ・FPD(フラットパネルディスプレイ)用配線材料の抵抗値表 ・TFT-LCD(TFT液晶)関連用語 ・低温Poly-Si液晶とアモルファス液晶の違い ・有機ELディスプレイ(OLED)の概要 ・液晶ディスプレイ(LCD)パネル製造メーカー一覧表 ・プラズマディスプレイパネル(PDP)製造メーカー一覧表 ・太陽電池セルの製法(従来型とCIGSの違い) ・ホームへ |