ナンセンスな物語(1)-ジョンの到来

 番組史上最悪の正義の味方がやって来た。その名もジョン。名が示す通り、相当に悪いやつだ。彼がこの街に到着した時、バケツをひっくり返したような小雨が降っていた。これからいったい何が起こるというのだろう。いや、そんなことは別にどうでもいいのだ。

 一難去ってまた一難。ジョンが大金をばらまき始めた。これだけのお金があれば、思いっきり小さな豪邸を建てられる。何の変哲もない噴水付きの空中庭園だって作れてしまう。

 ふと、鏡で自分の顔をよく覗いて見ると、唇のあたりに何やら白い黒点のようなはっきりした物体が微かに見えるのが分かった。それは疑いのない事実(ファクト)として、ジョンの記憶の中に刻み込まれていくのだ。

 ジョンはやがて身支度を整えて、最新の中古車に乗りこみ、フルスロットルで完璧とも言える安全運転をした。さらばジョン。

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