タスマニアへの道標

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製作: 小川 邦久

大きくなりすぎた湖


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− 2002年4月29日 ストラスゴードンにて −
 朝食前にホテルのロビーにあったレンタカー会社のチラシをいくつか見たところ、「ホバート市内のホテルまで車を無料でお届けします」というのがありました。朝食の後、早速このレンタカー会社に電話をして、7日間三菱のランサーを借りることになりました。チェックアウト後、フロント前で妻と待っていると、レンタカーの従業員がやってきました。契約内容と支払いについての説明の後、車に乗り込みいざ出発です。
 今回、最初の目的地に選んだのがサウスウェスト国立公園にあるストラスゴードン。地図上では島の左下の方にあり、ゴードン湖、ペダー湖の2つのダム湖にはさまれています。ストラスゴードンはこの2つの湖の水力発電所用のダムを建設する際に従業員向けに造られた町で、一時期は人口が2000人もいたことがありました。しかしダム建設が完了した現在は、町の規模が大幅に縮小されて、発電所の関係者が若干名滞在する程度になっています。
 このダム建設にあたっては、自然破壊につながることからタスマニア内で反対運動が起こり、その後オーストラリア本土まで議論が飛び火する事態にまでなりました。しかし政治的な手法が働き、結局ダム建設が開始されることになってしまいました。ダム建設前のペダー湖は3km四方の一辺に砂浜がある小規模ながら美しい湖で、当時タスマニアの手付かずの自然の一つとしてもよく知られていました。しかし、その姿は1972年の水没後、二度と見ることができなくなってしまいました。タスマニアの電力需要を考えると、今でも「このダムは本当に必要だったのか?」という疑問が残り、ダムを廃止してペダー湖を元の姿に戻そうという運動も起きています。
 朝ホバートを出た時は快晴で、絶好のドライブ日和でした。久しぶりのタスマニアでのドライブでしたが、車の数が少なくて心地よく運転することができました。途中の小さな町で水とフルーツを調達して、ストラスゴードンのあるサウスウェスト国立公園へと車を走らせました。
 ストラスゴードンへは単純な一本道で、これもやはりダム建設時に造られたものです。サウスウェスト国立公園はタスマニアの中でも未開の自然が残っていることで知られていますが、ダム建設前は道路がなく交通手段が全く無かったため、容易にアクセスすることができませんでした。ストラスゴードンへの道路が建設されたおかげで、サウスウェスト国立公園の自然がより身近のものになりましたが、ダ ム建設による自然への影響を考えると、素直には歓迎されていないようです。
 ホバートから3時間ほどでストラスゴードンに到着しました。想像どおり、閑散とした寂しい雰囲気の町でした。まずホテルに向かいましたが、同じ敷地内にレストラン、ガソリンスタンドがある他、この町では商売をしているところが全くないようです。とりあえずホテルのフロントに行きチェックインをしましたが、私たち以外には観光での宿泊客はいないようでした。ちなみに一泊料金はダブルルーム一室で$110で、へき地のせいか内容の割には料金が高かったです。その後、同じ建物内の食堂で昼食を取りました。トマト、レタス、卵と牛肉がはさんであるペダーバーガーなるものを食べましたが、肉が意外にジューシーでなかなかの味でした。やはりその時も客は私たちだけでした。
< ゴードンダム >
 それからゴードンダムに向かいました。道中は太古の時代のように密生した原生林、それにペダー湖、ゴードン湖を横手に見ながら、15分ほどでダムに到着しました。ゴードンダムは高さ140m、幅192mと、日本一の黒部ダムより一回り小さいもののなかなかの迫力がありました。ペダー湖もタスマニア独特のタンニンを含んだ赤黒い水を貯えており、湖面に近隣の山々がきれいに反射して、特に朝夕は幻想的な風景になります。これが日本だったら観光スポットにでもなりそうな場所だと思いますが、私たちが行った時には他にヨーロッパ系の旅行者2人がいただけでした。雄大な自然やある種の「懐かしさ」を求めるタスマニア旅行者にとって、人口湖やダムは観光スポットにはなり得ないようです。
 日も暮れてきたのであまり長居もせずにホテルに戻り、夕食の後は何もやることがないので、ランドリーで洗濯を済ませてそのまま寝てしまいました。
 翌日の朝食も30〜40人ほど座れる広い食堂に2人だけ。パン、シリアル、コーヒーだけの朝食でしたが、一泊料金とは別に一人$12も取られてしまいました。へき地と言えども、この金額には驚いてしまいました。「こんなことなら、町でサンドイッチでも調達しておくんだった」と思いましたが、ストラスゴードンの情報は事前に得られなかったので仕方がないでしょう。
 チェックアウト後、せっかくサウスウエスト国立公園に来たのだから、ということでショートトレッキングに出かけました。この地方は雨が多く湿気があるために、地面と木々の全面にこけが生えていて、きのこにもカビが生えているような状況でした。トレッキング中はヒルに食われないように、ズボンのすそを靴下の内側に入れて歩きました。数十分程度の短いコースを2本歩いただけですが、それだけでもこの地方の独特な自然を体験することが出来ました。本格的な人は1週間ほどかけて山の向こうの海岸までトレッキングをすることもあるようですが、そのためには相当な経験と体力が必要と聞いています。なにしろ、地元のレンジャーが迷ってしまい、40日後に救出されたなんて話もあるぐらいの密林です。
 ストラスゴードン周辺では大自然の片鱗を伺うことができましたが、いろいろな意味で人間の自然への影響力というのも強く感じてしまいました。

< サウスウェスト国立公園の密林 >
一面にこけが生えるほど湿度が高い

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