燃料電池車(FCV)とSOFC(固体酸化物形燃料電池)

環境に優しい自動車と言われる燃料電池車(FCV)に高効率のSOFC(固体酸化物形燃料電池)を搭載できるのか考察。
※BMWが採用しているAPU電源用途についてはここでは触れません。
※このページの文章は2005年に自己学習用として作成されたもので、内容の信頼性、完全性は保証しません。


■ 燃料電池車(FCV)の現状
・公開されている情報では、トヨタ、ホンダ、日産とも、全てPEFCを採用している。
・効率は現状でガソリン車の倍(ハイブリッド車の方が若干効率高い)。将来的には3倍を目標としている。
・PEFCが採用されている主な理由は「低温駆動」と「コンパクト」の2点。
・量産は2015年~2020年あたりに開始か。水素ステーションのインフラ整備がまず先。
・FCV(PEFC)の現状の問題点は、以下の通り。
 1) 水素ステーション → FCVの普及にはこれが大前提。
 2) 低温駆動 → 特に氷点下だと、スタックが凍結する問題あり。ホンダはこれを克服。
 3) 高温作動 → PEFCは動作温度が低いので、オーバーヒートしやすい。
 4) 白金触媒 → PEFCにはこれが必要不可欠。しかし今のままでは大量生産時には足りない。
 5) 水素タンク → 現状に技術では満タンでも200km弱しか走れない。
 6) スタックの寿命 → 現状、試乗車で1年程度でスタックを交換している。

■ 燃料電池車(FCV)のSOFC採用の可能性について考慮
・SOFCを採用した場合には、下記の問題が発生するものと思われる。現状、動力用としては考えづらい。
 1) 高温駆動のため、起動に時間とエネルギーがかかる
   →現状のSOFCでは起動に数分~数十分(?)かかってしまう。
   →SOFCのメリットである「高効率」は、入切を繰り返す環境ではあまり生かされない。
 2) スタックの大型化
   →PEFCに比べ熱が高く、スタックが大型化する。車重量増と社内スペース減。
 3) スタックの強度
   →高温駆動で振動あり。材料が耐えられるか。
 4) 量産化
   →プラスチックや樹脂を使用するPEFCより、量産の際のコストがかかる。

■ まとめ
車メーカーからの直接的な情報は少ないものの、得られている情報から考慮すると日本の車メーカーが現在燃料電池車用にSOFCを積極的に研究・開発しているとは考えづらい。
今まで蓄積のあるPEFC技術の改良に、より力を入れていることの方が想像しやすい。
ただ、現状のFCVは技術的な問題点も多く、もちろん何らかの技術的なブレークスルーで状況が一転することも考えられる。必ずしも「ブレークスルー=SOFCの採用」ということには繋がらないが、今後も動向を注視する必要がある。



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