ナンセンスな物語(28)-リヤカー専門店

 混雑した街を歩いていると、「リヤカー専門店」という看板を掲げた店があったので、好奇心で入ってみることにした。店の中は普通ものから特殊用途向けやマニア向けのものまで、幅広い種類のリヤカーが置いてあった。

 まず目についたのは、スパイクタイヤ付きリヤカーだ。冬の凍った路面もしっかりと捉えるという優れものだ。スパイクタイヤは粉じん公害の懸念があるため、「春になったらスパイクタイヤを普通のタイヤに履き替えるように」との注意書きもあった。

 次に目についたのは、原動機付きリヤカーだ。バイクでリヤカーを引っ張る姿は農村などで見かけることはあるが、これはその逆転の発想らしい。エンジンのない自転車に取り付けてもスピーディな走行が可能になるが、その場合には原付の免許が必要でヘルメットの着用も義務付けられるという点は押さえておきたい。

 最後は巨大リヤカーだ。全面鋼鉄製で最大積載重量が10トンと、どんなものを運んでも壊れることのない力強さがある。重いものを運ぶ時には微妙なバランスが必要だが、使いこなしてしまえば無敵のリヤカーと言える。ちなみにこれでも道路交通法上は軽車両の部類に入る。

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