ナンセンスな物語(5)-鼻みがき

 いつものように、歯ブラシに歯磨き粉を乗せる。今日は歯ではなく、鼻をみがいてみよう。そう思った。同じ「は」で始まる言葉なのだから、恐らく問題なかろう。

 まず右の鼻の穴に歯ブラシを突っ込む。最初に右の鼻の穴を選んだ理由は、私が右利きだからである。そして、ゴシゴシと消しゴムをこするようなイメージで鼻の穴を磨く。悪くない。

 そして左の鼻の穴を磨き始める。ゴシゴシ。それは未来への旅立ちを連想させるハーモニー。

 最後に私は鼻をかむようにして、一連の動作を終了させた。それ以来私は歯を磨くことを拒み続けている。

| 前へ | | 次へ |

| ナンセンスな物語集ホームへ |


Copyright (C) 2008 KUNISAN.JP. All Rights Reserved.